もしあなたの経営する会社が倒産したら、家族はいったいどうなってしまうのでしょう?

銀行からの融資の返済が残っている場合、社長である自分名義の資産を金を貸した人への返済に充てるのは当然として、妻や子供名義の資産も返済に充てなくてはいけないのか?
借りた金を返すのは人として当たり前の事だから、妻や子供名義の資産とはいえ、返済に充てるのが人としての筋だろう。

しかし妻や子供名義の資産すべてを差し出してしまっては、私たち家族はこれからどうやって生きていけばいいのか。

自宅を手放し引っ越しをしても、ずっと借金の取り立てがくるくらいならば、離婚してしまえば妻と子供は大丈夫なはず…それでも元妻のところに取り立てが行ったらどうすれば…

など、自分の会社が倒産危機にある社長のお金に関する心配は尽きることはないでしょう。
家族がおらず社長自身だけのことだけならまだしも、ご家族がいらっしゃる場合のご心痛は、想像を絶するものがあります。

社長が自分の会社を倒産させた場合、家族に金銭的、法律的に影響があるかどうか?

答えとしては
倒産する会社の負債に家族子供への影響はないが、社長の破産に関する負債については、家族子供の財産が関係してくることがある

が回答となります。

倒産する会社の負債に家族子供への影響はないですが、もし社長の妻、子供が融資、賃貸、リース契約などの連帯保証人に入っていれば話は別です。
連帯保証人に入っていれば、連帯保証人=契約者ですので、連帯保証人に返済義務が発生しますし、資産は差し押さえ対象となります。

家族が連帯保証人に入っていなければ、倒産する会社の負債に影響はないと断言します。

なぜ断言できるのかというと、この文章を書いている人間は、これまで700社以上の倒産危機にある会社に関わり、倒産危機にある会社の再生を専門に行ってきた事業再生コンサルタントであり、自社を倒産させた経験を持つ元社長です。
倒産という選択をした社長と社長家族に現実として何が起きるのか、自分自身の経験も含め、何百という実例をみずからの目で見た経験を持ちます。

自分も自分の会社を倒産させた元社長という経験、そして何百という実例を見てきた上で、「倒産する会社の負債に家族子供には影響ありません」と私は断言できます。

しかし社長の破産に関する負債については、家族子供の財産が関係してくることがありますので、ここでは

  • 倒産が社長自身とご家族に与える、法律的金銭的影響
  • 会社の倒産から家族の資産を守る具体的手法
  • 倒産が視野に入った時にNGな資産の動かし方

について、机上の空論ではなく、法律に基づき実際に私が現場で使っている実践可能な手法を、すべて解説します。

自分の会社を倒産させた時の社長家族への法律的、金銭的な影響について

自分の会社を倒産させた場合、社長の家族へどのような影響があるか解説します。

倒産する会社の負債に家族子供には影響はないと断言する法律的根拠

民法 第四百四十六条 (保証人の責任等)

保証人は、主たる債務者がその債務を履行しないときに、その履行をする責任を負う。
2. 保証契約は、書面でしなければ、その効力を生じない。
3. 保証契約がその内容を記録した電磁的記録によってされたときは、その保証契約は、書面によってされたものとみなして、前項の規定を適用する。

e-Gov法令検索より

とあり、保証人に代わって配偶者、親、子供などの家族が保証する義務があるとは書かれていません。
要は「保証人本人だけが保証しなさい。それ以外の人は関係ないよ」ということです。

法律にのっとり、正々堂々と家族の資産を差し出さなくてよい

契約は法がすべてです。

法に書かれている事以外の事を要求されても、堂々と断ればいいのです。
法律に「保証人本人以外の家族の資産も、返済に充てるように」と書かれていません。

もし金を借りている相手から「借りた金を返すのは人として当然の事でしょう。ご家族名義の資産も差し出すのが当然です」と言われても、法律にのっとり正々堂々と断りましょう。

もし家族が連帯保証人に入っている場合は逃げ道はない

もし社長であるあなたの家族が、会社の経営にかかわる何かしらの契約の連帯保証人に名前が入っている場合は、逃げられません。
家族が連帯保証人に入っている契約については、会社を倒産させ法的に処理したとしても、連帯保証人である家族名義の資産も、弁済に充てられます。

注意してほしいのは、家族が連帯保証人として取られている場合、連帯保証している金額以上の弁済をする必要はないという点です。
連帯保証している額が100万円なら、それ以上の金額を弁済する必要はありません。

連帯保証人の保証範囲
連帯保証人の保証範囲

家族が連帯保証人としてとられがちな契約

これまで700社以上の会社再生に関わってきた経験から、社長の家族が連帯保証人としてとられているパターンが多かった契約内容を以下に書きます。

社長自身も家族が連帯保証人に入っている事を忘れていたパターンも多く、倒産処理を始めてからそれに気づくこともありました。
一度チェックすることをおすすめします。

私が数多く見てきたパターンでは、会社の経営状態があまりよくない中で、新規で何かしらの契約をしたい場合に、 担当者から
「社長1人の個人保証では契約できない、社長ともう1人、家族を連帯保証人として出すように」
と言われ、契約したさに家族を連帯保証人に入れたというパターンが多いです。

  • 自宅(多いのは妻との共有名義の住宅ローン)
  • 不動産の賃貸借契約(渋谷、新宿、六本木などの繁華街にあるテナントの場合、会社の状態が悪くなくても連帯保証人を2人とられる場合が多々ある)
  • 自動車のオートローン契約

家族を連帯保証人に入れる事を断ったらどうなる?

契約したい一心で、社長が自分の家族に「絶対に迷惑はかけないから」と頼み、連帯保証人に入ってもらうことが多いです。

しかしもし社長が、家族を連帯保証人にすることを断ったら、何が起きるのでしょうか?
売る側の立場が強い場合は、「じゃあ契約しなくてけっこうです」で終わりです。

法人用の不動産契約で家族を連帯保証人として入れることを断ると、「じゃあ契約しなくていいです」となる場合が比較的多いと感じます。

もし売る側もあなたに契約してほしいと考えているなら、連帯保証人は社長1人でOKとなる事も多々あります。
家族を連帯保証人にすることに抵抗がある場合は、社長1人で連帯保証人として事足りないか、担当者と交渉してみる価値はあります。

すでに家族が連帯保証人になっている場合、外すことはまず無理

自分の会社の倒産が視野に入った社長に多く相談されるのが
「家族が連帯保証として入っている。
どうにかして外せないか?」

というものです。

結論としてはまず無理です。
なぜならば、金、モノをあなたに貸している側の人間からすると、せっかくとった社長本人以外の連帯保証を外すメリットがありません。

経営状態に問題がなければ、連帯保証に入っている家族を抜いてほしいという相談は、社長からはまずしないでしょう。
経営が思わしくなく、会社の倒産が視野に入っている状態だからこそ、家族の連帯保証が気になるわけで、そのような状態ならば金を貸している側の人間としては、社長以外にとっている”人質”を手放す理由はないでしょう。

家族名義の資産の差し押さえについて

家族が連帯保証人として名前を書いていない場合なら、あなたの会社を倒産させたとしても、家族名義の資産は差し押さえできません

なぜならば社長であるあなたしか連帯保証人になっていないなら、妻、子供、親といえども、家族名義の資産は家族のものであり、社長本人の資産ではありません。
社長個人名義の資産は差し押さえ対象ですが、家族名義の資産の差し押さえはできません。

家族が絡む社長名義、家族名義の資産の守り方

家族が絡む社長名義の資産として多いのは、自宅、生命保険です。
この2つの資産の守り方について、ここから解説していきます。

自宅(社長と家族の共有名義)

「共有名義の自宅は差し押さえされる可能性が低い」
という噂がありますが、そんな事実はありません。

相手が金融機関、税務署、年金事務所だろうが普通に差し押さえされ、競売にかけられます。
実際に家族との共有名義の自宅を差し押さえされ、競売にかけられた社長を、私はこの目で何人も見ています。

住宅ローンがない場合

社長個人の名義は抜きましょう。

しかしただ名義変更をかけるだけでは、倒産処理時に資産隠しとみなされ、裁判所から社長本人名義に戻すよう命じられる可能性が高いです。

自宅の名義から社長を抜くべき正当な理由と、証拠を残しましょう。

これ以上詳しくは書けません。
詳しくここに書けない理由は察してください。
もっと具体的に方法を知りたい方は、問い合わせフォームから初回無料相談をお申し込みください。

社長の状況(他の資産状況、お子様の年齢など)により流れや取れる手段は変わってきますが、何かしらの解決手段を具体的にご提案いたします。
しかし不特定多数の方がご覧になるインターネット上では、これ以上詳しい手法は書けません。

住宅ローンがある場合

社長個人の持ち分について名義を変更しないと、住宅ローンが残っている家族との共有名義の資産とはいえ、差し押さえの対象になります。

住宅ローンの一括返済が可能な場合

まず社長名義分の住宅ローンの残債を一括返済し、その後に社長の持ち分を家族名義に変更するという方法です。

家族名義に社長の持ち分を変更をする場合は、贈与税や相続税が発生する場合が多々ありますので、必ず確認してから行いましょう。

一括返済時の対応方法
一括返済時の対応方法
住宅ローンの一括返済ができない場合
社長分の住宅ローンを家族へ名義変更したい場合

社長名義分の住宅ローンの残債を家族名義に変更し、そのまま支払いを継続したいという社長もいらっしゃいますが、まず無理でしょう。

社長の支払い能力を審査をした上でこの人なら払えるという根拠がある中で、住宅ローンを組んでいるのですから、別の人間が審査無しで支払いを継続したいと申し出ても、当然ながらローン会社から断られます。

私が関わった事例では、社長名義の住宅ローンを家族名義に変更できた事例は1件もありません。

住宅ローンの妻への名義変更
住宅ローンの妻への名義変更
社長分の住宅ローンを家族名義で新たに組み直し

社長の名義を抜くために、家族名義で社長分の住宅ローンを組みなおします。
家族名義の住宅ローンの審査がとおり、社長名義の住宅ローンの一括返済をした後に、社長名義分を家族名義に変更します。

※この方法を使うときの注意点
住宅ローンを組みなおす家族の属性が重要になります。

妻名義への変更を希望する社長が多いので、便宜上ここでは妻への名義変更として解説します。

倒産させる社長の会社で妻が役員を長年やっていたなど、妻が会社の重要な役職についている場合、妻への名義変更ができたとしても、倒産処理時に裁判所から資産逃しとみなされ、社長名義に差し戻すよう命じられる可能性がひじょうに高いです。
名義変更をかける家族の属性がとても重要ですので、細心の注意をはらい手続きをすすめましょう。

家族名義での住宅ローン組み直し
家族名義での住宅ローン組み直し

名義変更する場合の注意点

単純に家族へ名義変更をかけただけでは、会社の倒産処理時に裁判所から資産逃しとみなされ、社長名義に戻すよう命じられる可能性がひじょうに高いです。

もし社長名義に戻すよう命じられた場合は、金と手間をかけて名義変更をしたとしても、すべてムダになります。
社長名義に戻るのですから、差し押さえ対象の資産となります。

私たちはこの様な難しい状況に関わらず、社長名義の自宅を守りきった実績が多数あります。

自宅を守り切る方法はあるのですが、するべき手続きの内容、流れ、順番がとても重要になり、これを1つでもミスすると裁判所から差し戻しを命じられる可能性が高くなります。

具体的な方法や流れを書きたいのですが、ネット上ではこれが書ける限界です。

具体的な手法を知りたい方は、問い合わせフォームよりご連絡ください。

生命保険(契約者が社長で受取人が家族の終身、学資保険など貯蓄性があるもの)

掛け捨ての保険の場合は、貯蓄性がありません(保険を解約しても現金がほとんど手元に戻らない)ので、倒産処理をする際に資産としてみなされません。
倒産処理時に現金化してもお金を生まないものは、裁判所は資産としてみなさないのです。

ゆえに掛け捨ての保険は、契約者が社長の場合でも放置でOKです。

学資保険、終身保険などは、解約すると現金が手元に戻りますので、契約者を社長のままで放置しておくと倒産処理時に資産として差し押さえられます。
契約者=この保険の持ち主とみなされますので、すぐに連帯保証人に入っていない家族の名義に契約者を変更しましょう。

私が実際に目にした、生命保険を差し押さえられた元社長

関東地方の老舗公務店の元社長の終身保険が、会社を倒産させる時に裁判所によって差し押さえされました。

契約者が元社長、被保険者(この保険の対象者)社長、受取人が妻の終身保険です。
倒産処理時の時点で、解約したら800万円の現金が手元に戻ってくる終身保険です。

一般的に20万円以上の資産価値があるものは、裁判所は差し押さえ対象とすると言われています。

私は何度も元社長に「契約者をすぐに奥様に変えてください」とお伝えしていたのですが、なぜか元社長は契約者の変更をしてくれませんでした。
いまだになぜ契約者を変更されなかったのか、理由は不明です。

もしすぐに契約者を奥様に変えていたら、800万円の現金が元社長の手元に残せた可能性は大いにあります。
800万円あれば、元社長が再起するために使う資金、もしくはご家族の生活資金としては、けっこうな助けになる金額だと思います。
本当にもったいない事をされたと、いまだに思い出し悔しくなることがある事例でした。

社長、社長の家族の資産を守るために“やってはいけないこと”

ここでは社長、社長のご家族の資産を、会社の倒産から守るために

やってはいけない事=会社の倒産処理時に資産隠しと裁判所にみなされ、資産の差し戻しを命じられる可能性が高い行為

について、説明します。

倒産処理寸前の資産の名義変更

弁護士を通じ裁判所に会社の倒産を申し立てをする場合、申し立て直前の資産の名義変更はやめましょう。
いくら合法的に名義を変更したとしても、資産逃しとみなされる可能性がとても高いです。

例)倒産処理前に社長名義の口座から現金を抜き、妻名義の口座に入れる 等

社長からいつまでなら資産逃しとみなされないのか?と質問される事が多々あるのですが、こればかりははっきりと答えづらいです。

すべては裁判所の判断によるのですが、裁判所の判断というのは、裁判官によってまちまちです。
3か月前の名義変更でも資産逃しとみなさない裁判官もいれば、9か月前の手続きでも資産逃しとみなす裁判官もいます。

こればかりは「可能なかぎり前倒しで手続きをしましょう」としか、ここでは書けません。
しかしもし私たちがサポートに入る場合は、具体的な指示をいたしますので、ご安心ください。

名義変更には根拠と証拠を残す

自宅、口座の現金などを家族名義に変更する場合は、必ず

  • なぜその人の名義に変更するのか正当な理由
  • 名義変更した場合はきちんと書類を作った上で対価を払い、正当な手続きである証拠を残す

2点が重要です。
この2点がなければ、根拠なき理由なき資産移動とみなされ、裁判所から差し戻しを命じられる可能性が高くなります

根拠なく、債権者の誰かに対して偏った返済をすること

金融機関、取引先などの債権者には1円も返済していないのに、家族からの借金に対し数百万円を返済するなど、誰かにかたよった返済をするのはNGです。
もしこの様な偏った返済をすれば、裁判所によってかたよった返済をうけた相手に、返済分を差し出すよう裁判所から命じられる場合がほとんどです。

どうしても誰かに返済を行いたい場合は、

  • なぜその人の名義に変更するのか正当な理由
  • 名義変更した場合はきちんと書類を作った上で対価を払い、正当な手続きである証拠を残す

事を徹底しましょう。

絶対に差し戻しをくらいません!とは言えませんが、差し戻しを命じられる可能性は下がるはずです。

まとめ

  • 倒産する会社の負債に家族、子供への法的・経済的影響はない
  • 社長の破産に関する負債については、家族子供の財産が関係してくることがある
  • 家族が連帯保証人に入っている場合、逃げ道はない
  • 家族が連帯保証人にすでになっている場合、外すことはまず無理
  • 家族単独名義の資産の差し押さえはできないが、社長との共有名義ならば差し押さえ対象
  • 資産の名義変更には正当な根拠と証拠が必要
  • 倒産が視野に入っている時に、根拠なく、債権者の誰かに対して偏った返済してはいけない

以上になります。

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