倒産・自己破産回避の戦略ガイド|負債を切り離し、事業と資産を救い出す第二会社方式の全貌
執筆 : 村兼 明洋(事業再生実務家)・市橋 美緒奈
倒産と自己破産は全くの別物だ。
会社を畳んでも本気の第二会社方式を使えば事業と社長の人生は守り切れる。
銀行返済より役員報酬を優先し、家族の資産を死守する生存戦略を断行する。
顧問の助言を鵜呑みにせず、実務的な防衛策で再起の道を切り拓く。
これが、社長が再起し生き残るための唯一の解答だ。
「資金が尽きた。倒産だ。もう自己破産しかない」
そう思い込んでいる社長へ。
第二会社方式を使い事業を負債から切り離し、自己破産せず社長が再起する。
これが700社超の事業再生に関わった私の考える、倒産回避策の最終結論です。
倒産、自己破産ですべてを失うのではなく、倒産を利用して負債を切り離し、利益を生む事業を生き残らせるのです。
自己破産せず事業を生き残らせる事は、あなたの家族を守ることに直結します。
腹をくくり、覚悟を持ち、知恵を携え、この厳しい戦いに挑んでください。
私が持っている、この戦いに勝ち抜くためのすべての知識を公開します。
1. 会社を倒産させても自己破産はするな
弁護士の初回面談で「会社の倒産と一緒に社長も破産しましょう」と言われませんでしたか?
なぜならば多くの弁護士にとって、倒産と自己破産をセットで進める方法が最も儲かり、かつ手離れのよい楽な商品なのです。
しかし経営者の再起を第一に考えるなら、社長の名前と信用を地の底に落とす自己破産は、最悪の選択肢になり得ます。
私は安易な自己破産には反対します。
士業が勧める「一律破産」
- 社長の名前と信用が5年~死ぬ
- 自宅、車などの全資産を没収
- 銀行取引、カード利用が不可能に
- 再起への気力が根こそぎ奪われる
私たちが描く「私的再生」
- 自己破産をせず、名前と信用を守り抜く
- 私的整理により整理を行い、銀行取引を維持
- 自宅などの資産を保全
- 別会社からの報酬で収入を維持
2. 負債を切り離し事業を守り切る「第二会社方式」の全手順
利益の出る事業と雇用、そして社長の生活環境をクリーンな新会社へ移管する。
これが第二会社方式の正体です。
ただし手続きのタイミングを一歩誤れば、詐害行為としてすべてを失います。
詐害行為をとられてすべてを失いたくなければ、綿密な計画立案と正しい判断が不可欠です。
ネットの情報を鵜呑みにし、安易な第二会社方式による事業の保全を進めることは、あなたの経営者人生を叩き潰す、恐ろしいハンマーとなります。
第二会社方式の進め方
01
事業の棚卸し
利益を生む事業と、足を引っ張る負債を冷徹に仕分けします。
02
受け皿(新会社)設立
詐害行為とみなされない資本構成とタイミングで設立します。
03
適正価格での事業譲渡
法的な根拠と判断に基づき、事業と雇用を新会社へうつします。
04
事業の再開
法的正当性を持って負債を整理し、社長の再起を確実にします。
それどころか詐欺破産罪として刑事罰の対象になるリスクすらあります。
第二会社方式を完遂させるには、銀行側のアルゴリズムを熟知した専門家による「防衛線」が不可欠です。
3. 倒産を「すべての終わり」から「負債の切り離し」に変える方法
多くの弁護士にとって、倒産は「会社を消滅させ負債を帳消しにする商品」です。
しかし経営者にとっての倒産とは、「再起のための分岐点」であるべきです。
倒産を再起の分岐点と捉え、負債を切り離し、事業と家族を守る戦略的な倒産処理について、まずはその正体を知りましょう。
「士業の言う通りに適正な破産を行えば、事業も自宅も全て債権者に差し出すことになります。
それは再生ではなく単なる清算です。
私たちは、社長を生き残らせることにのみ特化しています」
4. 支払い順序の組み換えで延命し時間を稼ぐ
多くの社長は、「銀行に嫌われると追加融資が受けられないのでは?」という恐怖におびえ、銀行返済最優先の資金繰りを行います。
しかし追加融資NGな経営状態の会社は、どれだけ銀行返済最優先の資金繰りを行っても、決算書、試算表に苦しい経営状態が正直に反映されています。
担当者はそこを確実に見抜き、「この会社に追加で貸しても返済は無理」と判断し、追加融資に応じません。
銀行にいくら媚びても追加融資はないのですから、ここで頭を切り替えて、「銀行最優先の資金繰り」から「社長と会社を生き残らせる資金繰り」に大きく舵を切ってください。
入ってくる金をどう使うか。
この1点の差が、再起できるかどうかの分水嶺となります。
資金繰りが破綻しかけた時、クソ真面目な支払い順序はあなたを自己破産と一家離散へ導きます。
銀行最優先の資金繰りから、社長と会社を生き残るための資金繰りに考え方を変え、直ちに実行に移すことが、あなたの会社を倒産から守る方法です。
5. 銀行への返済を止め、キャッシュを死守するリスケ術
「借りた金は最優先で返すべき」という社長の真面目な思い込みが、あなたを倒産、自己破産へと追い込みます。
銀行への返済を一時的に止め(リスケジュール)、その現金を倒産回避のための運転資金に回す。
リスケで時間を稼ぐ間に、死にゆく事業ならば第二会社方式による再生の道へ、利益体質に変われるなら本業再生へと進め、返済に回していた金を死に金から生き金とする。
これが狂った資金繰りを、再び正しく動かす唯一の手段です。
銀行はあなたの敵ではありません。
一度壊れてしまった銀行との信頼関係を作り直し、彼らにもう一度応援してもらえるよう、必死に仕事をする事でやり直すのです。
「銀行の担当者に経営状態を少しでも良く見せようと、無理な返済計画を作ってはいけません。
彼らは返済計画書と試算表の数字を見れば、一瞬で実現可能な計画か判断できる、金のプロです。
担当者が求めているのは誠実そうな嘘の数字ではなく、上司を納得させられる実効性の高い数字です。
見栄を捨て現実を認め、向き合う勇気を持ってください」
6. 経営者が最も夜眠れない理由「給料未払い」の真実
「従業員の給料が払えない=労働基準監督署に処分される」という恐怖から、自分の貯金を切り崩してでも、従業員の給料を払っていませんか?
実は国の制度(未払賃金立替払制度)を正しく使えば、社長がこれ以上身を削ることなく、従業員の収入を守ることが可能です。
しかしこの制度を使う場合は、社長の誠実な対応が必須であり、誠実な対応を誠意をもって続けることが、労働紛争をゼロにする鍵です。
7. 倒産がよぎった時、顧問税理士を見切るべきサイン
税理士は計算のプロであっても、経営や倒産回避のプロではありません。
「売上を上げましょう」という無意味な励ましや、銀行寄りの意見しか言えない税理士は、今のあなたにとっての味方ではない事を受け入れましょう。
事業が順調な時の税理士は頼れるパートナーかもしれませんが、倒産寸前という究極状態で頼れる専門家として、税理士に頼るのは大きな間違いであり、税理士にとっても大きな負担です。
税理士は経営のプロではなく、税務のプロです。
今のあなたにとって必要な頼れるパートナーは誰なのかを見極める、冷徹な基準を解説します。
生存の先に、資金繰りの正常化を
事業と資産の保全に目処が立ったら、次はPHASE 03:【財務】キャッシュフロー改善へと進み、再び利益を生み出す「筋肉質な経営」を構築しましょう。



