「経営者保証ガイドラインを使いたいのですが、私の家を残せる可能性は何パーセントでしょうか?」
700社超の会社再生に関わる中で、何十回となくご相談者から私は質問されました。

多くの弁護士は「状況によります」と言葉を濁す部分ですが、これまで100軒以上の自宅保全の現場に関わってきた私の実体験から、現場の実情を詳しく説明します。

経営者保証ガイドラインの全体像や、自宅を残せるかどうかの判定基準については、同サイト内 “ 経営者保証ガイドラインを知り自宅を残せる具体的手法を徹底解説 “ をご覧ください。

「華美な自宅」を分けるのは主観ではなく数字と地域性

経営者保証ガイドラインで残せる “ 華美でない自宅 “ の判断基準は、主に5つの要素で決まります。

  1. 評価額
  2. 地域性
  3. 築年数
  4. 面積、外観
  5. 家族構成

上記5つの要素と、会社の資金繰り状態によって決まります。

特に重要な指標は、住宅ローンがある場合、月33万円の生活費の中から無理なく住宅ローンが支払えるか額かという点です。
住宅ローンが月額20万円を超えるような物件は、一般市民の生活レベルから逸脱しているとみなされ、華美と判断される可能性が極めて高くなります。

判定基準1. 周囲と比べて価格が高すぎないか

” 周囲の平均的な家と比べて価格が高すぎないか ” という点が、重要な判断ポイントとなります。

  1. 評価額 : その土地の路線価や建物の時価。
  2. 地域性 : 周辺の一般住宅が3,000万円程度のエリアで1億円の家に住んでいれば、問答無用で華美と判定される。
  3. 築年数 : どんなに立派でも築年数がたっており資産価値がほぼゼロであれば、残せる可能性が上がる。逆に築浅の場合は評価が高くなり、残せる可能性が下がる。
  4. 面積・外観 : 家族人数に見合わない広さや、過度に豪華な外装はマイナス。
  5. 家族状況 : 高齢の親や介護が必要な家族がいる場合、引っ越しの困難さが考慮され、有利に働くことがある。

もう1つ重要なポイントは、評価額が銀行の回収見込み額を下回るかという点ですが、詳しくは同サイト内 “ 経営者保証ガイドラインを知り自宅を残せる具体的手法を徹底解説 評価額が回収見込み額の増加額の範囲内か?“ を参照してください。

判定基準2. 根拠は法令。生活費33万円の壁

国が決めた夫婦2人子供2人世帯の場合の平均生活費は、33万円です。
この33万円という数字の根拠ですが、しっかりと民法で定義されています。

民事執行法施行令の根拠

民事執行法施行令 第二条

法第百五十二条第一項各号に掲げる債権(次項の債権を除く。)に係る同条第一項(法第百六十七条の十四及び第百九十三条第二項において準用する場合を含む。以下同じ。)の政令で定める額は、次の各号に掲げる区分に応じ、それぞれ当該各号に定める額とする。

1.支払期が毎月と定められている場合 三十三万円

e-GOV法令検索より

住宅ローン20万円が無理な理由

民法で定義された生活費33万円の中から20万円の住宅ローンを払えば、残りは13万円です。

ここから家族の食費、光熱費、教育費を出すのは現実的ではありません。

「倒産後に稼ぐから大丈夫」は通じない

裁判所は借金をチャラにする一方で、高額な住宅ローンの支払いが必要な住宅に住み続けるという、ぜいたくな暮らしを続けることを認めません。

実録 住宅ローン24万円の自宅を守るのが現実的ではない理由

私が実際に見た実例をお話ししましょう。

建設業を営む相談者である社長の意向は、会社は倒産させてもかまわないが、自宅だけは妻のためにも残したいというものでした。

実例. 住宅ローン24万円の夫婦ペアローン

年齢 : 社長48歳 妻47歳(専業主婦)

エリア : 岐阜県某市

住宅種類 : 一戸建て

築年数 : 3年

面積 : 180平米 5LDK

住宅ローン残債 : 7,000万円

月の支払額 : 24万円

エリアの平均一戸建価格 : 2,900万円~3,500万円

経営者保証ガイドラインを使うには築年数が極めて新しく、同じ地域の平均的な同じ間取りの一戸建てに比べ、2.5倍近く高い取得金額がひっかかります。

社長は
「会社を倒産させても、夫婦2人でトリプルワークをして住宅ローンを払い続けます」
とのご意向でしたが、冷静に考えて50歳が近いご夫婦が24万円の住宅ローンを払い続けようとすれば、少なくとも月に60万円程度の収入が必要です。

長く専業主婦をされていた奥様に、月に何十万円も稼げというのは酷な話でしょう。

万が一いまの自宅を残せたとして、自分の会社を倒産させた直後から月に60万円稼ぐ事が、あなたは可能だと思いますか?

始めの数か月は何とか支払えるかもしれません。
しかし徐々に住宅ローンが支払えなくなり、銀行に自宅が差し押さえられ、競売にかけられるでしょう。

自宅を維持するためにかかる費用

すぐに手放した場合 : 追加の支払い0円
6か月粘って自宅を手放した場合 : 24万円×6か月=144万円

結果として自宅を失うならば、失う家に144万円も使うより、そのお金を社長の再起のために使った方が、有意義であると私は判断します。

実例比較 守れた家、守れなかった家

私が実際に見た、経営者保証ガイドラインを使って守れた家、守れなかった家を比べてみましょう。

守れた家守れなかった家A守れなかった家B
自宅住所岩手県某市大阪府人気エリア佐賀県某市
住宅種類一戸建て一戸建て一戸建て
築年数60年20年6年
土地の地積200坪60坪90坪
建物床面積78坪41坪34坪
周辺平均価格800万円5,000万円2,500~3,200万円
住宅ローン額0円2,500万円5,000万円
住宅の評価額1,120万円8,900万円2,230万円
売却後の手残り額1,120万円6,400万円-2,760万円
借金額1.8億円9億円1.2億円
家族構成妻(扶養)
社長の母親(要介護度3)

子供2人

資産価値が高い自宅は残せる可能性低

重要なポイントは売却後の手残り額ですが、それを決めるのは地域性です。

人気が高いエリアならば高く売れますから、売れば資産になるものを債務者である社長が持ち続けることを、債権者である銀行はまず許しません。

周辺住宅より大幅に高いとアウト

守れなかった自宅事例Bの佐賀県某市社長の自宅は、周辺の住宅は2,500~3,200万円で買えるエリアで、購入時6,000万円の自宅は周辺住宅の2倍の価格で購入しており、華美な自宅と判断されました。

築古の不人気エリアならば残せる可能性大

地方の人気がないエリアにある自宅ならば、評価額そのままの金額で売れることはまずないと、これまでの経験上判断します。

「2,000万円の評価額なのだから2,000万円で売れるはずだ」
と債権者が差し押さえても、築古かつ不人気エリアならば500万でも売れないという現実があります。

不人気エリアにある解体費用までかかる自宅を差し押さえ、社長から恨みを買うよりは、自宅は残してあげて他で回収しようというのが、銀行側の考えです。

経営者保証ガイドラインは無理と言われた後の生存戦略

経営者保証ガイドラインを使った自宅保全の判定基準は厳しく、都心部の人気エリアや高額ローン物件は、ガイドラインだけではまず残せません 。

しかし経営者保証ガイドラインが最後の砦であるならば、その前に打てる実務的な対策があります。
あなたの自宅を失うという絶望から、再生の礎へと書き換えるための戦略を一緒に練りましょう。

この記事を読んだ方から多く頂く質問にお答えします。

Q
華美な自宅とは具体的にどのような家を指しますか?
A

客観的な数字と地域性で判断されます。

主に評価額、周辺環境(地域性)、築年数、面積・外観、家族構成(介護の有無等)の5つの要素を総合的に評価し 、周辺の平均的な住宅に比べて著しく高額(目安として取得価格が2倍以上など)な場合は華美と判定される可能性が高くなります。

Q
なぜ生活費の基準が「33万円」なのですか?
A

民事執行法施行令(第二条)において、差し押さえ禁止額の基準として定められている額が33万円だからです。

裁判所はこの額を夫婦2人、子供2人世帯の平均的な生活費の根拠としており、経営者保証ガイドラインにおいても、この生活費の範囲内で住宅ローンを無理なく支払えるかどうかが、保全の重要な境界線となります。

Q
住宅ローンが月額20万円を超えていても自宅は残せますか?
A

非常に困難です。

標準的な生活費(33万円)の中から月20万円のローンを支払うと残額が13万円となり、家族の食費や光熱費を賄うのは現実的ではないとみなされるためです。

裁判所は多額の借金を免除する一方で、一般市民の生活レベルを逸脱した高額ローンの支払いを続けることは原則として認めません。

Q
家族に高齢者や要介護者がいる場合、保全に有利になりますか?
A

はい、有利に働くことがあります。

住宅ローンが完済されている等の条件は必要ですが、高齢の親や介護が必要な家族がいる場合、引っ越しに伴う心身のリスクが高いと判断され、銀行側が自宅の保全に同意した実例があります。

Q
資産価値が高い(売却益が出る)自宅は保全できますか?
A

経営者保証ガイドラインのみを頼りにする場合は、極めて困難です。

人気エリアの不動産など、売却すれば多額の利益(アンダーローン)が出る物件は、債権者である銀行が回収を優先するため、保全を拒否されるケースがほとんどです。
ただし、ガイドライン以外の実務的な対抗策を講じることで、保全を可能にする道は存在します。

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